新たな挑戦
2015/11/19
今回はクラブの成長戦略について考えてみたいと思います。サガン鳥栖の2010年の運営費が約8億、来年2012年度が11~12億になる予定です。これは3つ前の記事で書きました。そして、11億という運営費の規模は、現実的にはJ1最下位、J2の中位の上ぐらいの規模でしかありません。
ほぼ同じような予算で推移したのが、2009年昇格の山形。
山形は、J2で昇格を決めた2008年7億、昇格した2009年11億、2010年12億、今年はまだ数字がでていません。少しずつ予算を拡大して来ていました。
http://yamagata-np.jp/monte/genre_11/kj_2011012600022.php
大事なのは、この記事の最後の部分。
観客動員に対する見通しの甘さが大きく影響した一方で、入場料収入は3億4900万円、広告料収入は2億3000万円と、それぞれ09年より1000万円、3600万円の増収が見込まれている。徐々にではあるが、チームの“身の丈”が伸びているととらえることもできる。
J1に居続ける事で、クラブのサイズが徐々に大きくなっていったという事実。今年度残れば3年目という事で、さらにクラブ基盤は大きくなったと思いますが、残念ながらJ2に降格してしまいました。
J2に落ちると、クラブは運営費を絞らざるを得ません。J2ではどうしても営業収入が伸びません。
昇格と降格を繰り返す、所謂エレベータークラブの営業収入を見ていきましょう。まずは甲府です。
次に福岡。
最後に横浜FCです。
単位:百万円
出展:Jリーグ公式サイトクラブ経営情報http://www.j-league.or.jp/aboutj/document/jclub/management.html
どのクラブも、J1に昇格すると急激に営業収入と運営費が拡大し、大体10億半ばの規模まで大きくなっています。問題はその後、J2に降格すると、営業収入も10億を切るぐらいまで落ちてきます。
そんな中、J2降格しても営業収入を10億以上にキープできた甲府の頑張りは目を見張るものがあります。2011年度に再昇格を果たしたのは、クラブの規模を保ち続けられた事がひとつ大きな要因です。
J2最終年に約5億8千万の運営費が、J1を二年経た後で10億規模のクラブになったのですから、甲府は地方の小クラブとしては成功のモデルのひとつと言えるでしょう。
収益機会の多いJ1に留まりながら、クラブの規模を大きくしていく。至極当たり前の事ですが、これからサガン鳥栖の未来を作っていく上で、来年度は残留が新たな挑戦と言えるでしょう。但し、ただ残留ではなく「黒字」であることは当然の前提です。
現実的には「残留」が今期の大テーマなんですが、営業的にこれをどう見せていくのか。このあたり結構フロントの腕の見せ所です。景気よく法螺を吹くのもいいのですが、難しいところです。
時間が来たのでこの辺で。
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